介護関連施設の夜勤が過酷な事は、よく知られていますが、この苦労は実際に夜勤を経験した人にしかわからないだろう。
夜勤経験のない介護職員ですら、夜勤のやの字もわからないといっても過言ではない。夜勤の大変さの指標が平均介護度だと思っている日勤帯専門の職員もいるくらいだから、一般の人にはなおさらわからない。政治家だってわからないだろう。
何が大変かと言えば、いわゆるワンオペということになりますが、夜間の職員配置は基本的に一人で、要介護者20人(施設により若干の差がある)を見なければならない。
まず基本的に必ずやらなければならないことは、だいたいどの施設でも同じようなものだろう。
◼️基本
2時間置きに巡視し、その時、利用者一人一人を記録を取らなければならない。(これだけでもかなり時間が掛かります)
◼️排泄介助
排泄介助と言えば、単にオムツ交換だけではない。一番苦労するのが、転倒要注意の利用者である。
トイレの回数が多く、その都度歩行見守り介助しなければならない。一晩で20回トイレに行く利用者も珍しくない。
◼️不穏者対応
ショートステイの利用者の場合は、基本が自宅、一時的にショートステイに泊まる。
要介護高齢者は、施設になかなか順応することが出来ず、不安や妄想から、「お金を盗まれた」等、もの取られ妄想が出たり、蛇やお化けが出たと幻覚を見たり、帰りたいと何度も訴えたり、一晩で50回以上ナースコールで呼び出されることは珍しくない。
厳密に言えば、その都度記録に取らなければならないが、そのような状況では、記録を後回しにせざるを得ないので、後に記憶で記録を書く不正確な記録になるのはやむを得ない。
また、利用者は自宅とは勝手が違いますから、トイレの場所もわからず、失禁したり、フロアの隅に排泄したり、その処理も職員一人で行わなければならない。
◼️緊急対応
夜間転倒して骨折等すれば、応急処置、責任者への連絡、家族への連絡、救急対応、さらに他の利用者の動きも見なければならない。
◼️壮絶な夜勤の例
ナースコール計100回以上、緊急対応アリ、不穏者3名、トイレ以外の排泄7回、これ一晩で来ました。その日の緊急対応は責任者が対応しましたが、夜間なので連絡もつかない可能性もありました。
そんなこんなで色々ありましたが、7年間にわたり、夜勤も多く経験しました。
そういう壮絶な経験をすると、不穏者の一人や二人くらいは何とも思わなくなり、夜勤も苦にならなくなります。
私の勤めた施設での夜勤は当直で、夕方16時半から翌朝9時までとなります。夕方の時点で不穏者が複数いると、ワンオペで翌朝7時の早番出勤までの間のことを考えると、慣れている夜勤者でも途方に暮れる。
しかし、あの壮絶な経験を思えば、何とかなる、明けない夜はないと強気にもなれる。
正直言って高齢者ですから、夜勤中一番心配なことは○なないか?それだけでして。