認知症の利用者を介護した経験のある私からみても身体をロープで縛るのは、やりすぎだと思います。しかも一年間も続けていたとは。
私の認知症利用者を対応した経験の中で、ある人は、他の利用者の居室に入り、放尿、放便、夜間に壁を叩く、椅子を投げる、職員、他の利用者に杖を振り回す等、危険な行為を行い、夜間は職員1人で、他の利用者の対応もあるので、ニッチもサッチもいかない夜勤を思い出します。
おそらく、このニュースの利用者の方も、そのような行為があっての拘束だったと思われます。
さて本題ですが、この事件の責任は誰にあるのでしょうか?利用者本人?利用者家族?介護現場の職員?施設側?ケアマネ?
これは、あくまで先に述べた問題行為のある利用者だった場合の各責任レベルになります。
①利用者本人 ★無し
理由…本人には自覚は無く、解決、改善策を利用者本人の努力で検討することは不可能である。
②利用者家族 ★★
理由…施設での対応は事実上、家族が決めるのは不可能。ただし、施設選びや病気の治療方針等を最終決定は家族にしか出来ない。よって一定の責任がある。家族に責任能力が無い場合は代理人(ケアマネの場合もある)に該当する人にその責任がある。
③現場介護職員 ★★★
理由…身体拘束は緊急やむを得ない場合にのみ一時的に行う事が認められているが、一年間も続けているのは、一時的とは言わない。他の方法が無いことを施設側に再三再四訴える必要がある。その記録も、文書で取って置かなくてはならない。
一年間も拘束が続く中、現場は上にものを言い辛いという話では済まされない。
④施設側 ★★★★★
たとえ現場職員から声が挙がらなかったとしても、22人の職員が一年間も同じ対応を続けていた事を知らなかったはずは無い。知ろうとしていなければ、尚更マズい。
また、現場職員が拘束せざるを得ないと判断したのであれば、対象利用者はその施設での生活は適していないという事になる。
現場職員は、他施設への移動や受診などをケアマネや家族に相談する権限は持たない。よって、施設側は報連相を怠り、自施設の実態把握の努力も怠った事になる。
よって施設側の責任が一番重いと判断しました。